Japanische Klassiker mit Furigana
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あおじろいつき
蒼白い月
徳田 秋声
Lesen Sie 蒼白い月 (あおじろいつき) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.440 Zeichen · 19 Bildschirme
私は浜辺へ来たときあたりを見まわしながら言った。
沼地などの多い、土地の低い部分を埋めるために、その辺一帯の砂がところどころ刳り取られてあった。砂の崖がいたるところにできていた。釣に来たときよりは、浪がやや荒かった。
「この辺でも海の荒れることがあるのかね」
「それあありますとも。年に決まって一回か二回はね。そしてその時に、刳り取られたこの砂地が均されるのです」
海岸には、人の影が少しは見えた。
「叔父さんは海は嫌いですか」
「いや、そうでもない。以前は山の方がよかったけれども、今は海が暢気でいい。だがあまり荒い浪は嫌いだね」
「そうですか。私は海辺に育ちましたから浪を見るのが大好きですよ。海が荒れると、見にくるのが楽しみです」
「あすこが大阪かね」私は左手の漂渺とした水霧の果てに、虫のように簇ってみえる微かな明りを指しながら言った。
「ちがいますがな。大阪はもっともっと先に、微かに火のちらちらしている他ですがな」そう言って彼はまた右手の方を指しながら、
「あれが和田岬です」
「尼ヶ崎から、あすこへ軍兵の押し寄せてくるのが見えるかしら」私は尼ヶ崎の段を思いだしながら言った。