Japanische Klassiker mit Furigana
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そばもち
蕎麦餅
田中 貢太郎
Lesen Sie 蕎麦餅 (そばもち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.035 Zeichen · 8 Bildschirme
それは婆さんであった。婆さんは皆の寝姿を一通り見ておいて、燈火を持って往こうとした。婆さんの眼と季和の眼が合った。
「早くお寝みなさいよ、よく寝ないと、明日苦しいから」
季和はちょっと頷いて見せた。婆さんは出て往った。後は真暗になってしまった。季和は早く睡ろうと思って無理に眼を閉って、何も考えないようにして睡ろう睡ろうとしたが、そんなことをするとなおさら睡れない。半時あまりもそんなにしていたが、苦しくてしかたがないのでまた左枕に枕を変えた。
ぶつぶつと言うような声が聞えた。それは隣の室からであった。そこは荒壁になっていて土の崩れた壁の穴から隣の室の燈火が滲みだしたように漏れて見えた。季和はどんな者が隣にいるだろうかとちょっとした好奇心を動かした。彼は寝床から這いだして壁の穴から窺いてみた。
不思議な光景が季和の眼に映った。竈の前に坐った婆さんが、六七寸ばかりある木の人形を二個前に置いて、それに向って両手の指を胸の処で組み合せてまじないでもするようにしていた。季和は変なことをするものだと思って眼もひかずに見ていた。
婆さんは祈をすました。祈がすむと起ちあがって、傍にあった水桶から杓を取り、その水を一口飲んで人形に吹きかけた。