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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふきもんどう

蕗問答

山本 周五郎

Lesen Sie 蕗問答 (ふきもんどう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.898 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

……だから新九郎出府と聞くなり、

――これは蕗の小言だぞ。

と気付いたのである。……そこで義敦はわざと書院では会わず、数寄屋で侍女の浪江に茶をたてさせながら、新九郎を呼んだ。

浪江は「おこぜ」という綽名のある醜女で、年は二十六歳、色の黒い肩の怒った、肉太の大きな女である。抜けあがった額と、眉尻の下った、下唇のしゃくれた恰好が、醜いながら如何にも愛嬌があるので「おこぜの浪江どの」と呼ばれながら一種の人気を持っている。事実また彼女がいると、その席がいつか和やかになるのは不思議なくらいであった。

義敦はその効果を狙ったのである。

新九郎は数寄屋の縁下へ伺候して挨拶を述べた。……義敦は茶碗を手にしたまま、

「許す、近う参れ」

と声をかけた。

縁の端へ上ったが、新九郎はじっと主君の顔を見上げたまま黙っている。……殿に目通りしたら思出すだろうと、それを頼みにしてきたのだ。

「急の出府はなにごとだ」

義敦は不審に思って促した。

「は……真に、御健勝にわたられ、……なんとも祝着に存じ……夏気がひどくありまして、……なんとも」

「それで、用向はなんだ」

そう云いながら見ると、新九郎の額には大粒の汗がふき出して、たらたらと領首の方へ流れている。