Japanische Klassiker mit Furigana
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はくめい
薄明
Lesen Sie 薄明 (はくめい) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.073 Zeichen · 18 Bildschirme
私は失明の子供を背負った。妻は下の男の子を背負い、共に敷蒲団一枚ずつかかえて走った。途中二、三度、路傍のどぶに退避し、十丁ほど行ってやっと田圃に出た。麦を刈り取ったばかりの畑に蒲団をしいて、腰をおろし、一息ついていたら、ざっと頭の真上から火の雨が降って来た。
「蒲団をかぶれ!」
私は妻に言って、自分も子供を背負ったまま蒲団をかぶって畑に伏した。直撃弾を受けたら痛いだろうなと思った。
直撃弾は、あたらなかった。蒲団をはねのけて上半身を起してみると、自分の身のまわりは火の海である。
「おい、起きて消せ! 消せ!」と私は妻ばかりでなく、その附近に伏している人たち皆に聞えるようにことさらに大声で叫び、かぶっていた蒲団で、周囲の火焔を片端からおさえて行った。火は面白いほど、よく消える。背中の子供は、目が見えなくても、何かただならぬ気配を感じているのか、泣きもせず黙って父の肩にしがみついている。
「怪我は無かったか。」
だいたい火焔を鎮めてから私は妻の方に歩み寄って尋ねた。
「ええ、」と静かに答えて、「これぐらいの事ですむのでしたらいいけど。」
妻には、焼夷弾よりも爆弾のほうが、苦手らしかった。