Japanische Klassiker mit Furigana
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うすこうばい
薄紅梅
泉 鏡花
Lesen Sie 薄紅梅 (うすこうばい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.133 Zeichen · 122 Bildschirme
吻と吹く酒の香を、横状に反らしたのは、目前に歴々とするお京の向合った面影に、心遣いをしたのである。
杯を持直して、
「別れだといいました。糸七も潔く受けました。あなたも、一つ。」
弱い酒を、一時に、頭上った酔に、何をいうやら。しかもひたりと坐直って、杯を、目ざすお京の姿に献そうとして置くのが、畳も縁も、炉縁も外れて、ずか、と灰の中へ突込もうとして、衝と手を引いて、ぎょっとしたように四辺を視た。
「どうかしている。」
第一に南瓜畠が暗かった。数千の葉が庭ぐるみ皆戦いだ。颶風落来と目がくらみ、頭髪が乱れた。
その時、遣場に失した杯は思わず頭の真中へ載せたそうである。
一よろけ、ひょろりとして、
「――一段と烏帽子が似合いて候――」
とすっくり立った。
が、これは雪の朝、吉原を落武者の困惑を繰返したものではない。一人の友達の、かつて、深山越の峠の茶屋で、凄じき迅雷猛雨に逢って、遁げも、引きも、ほとんど詮術のなさに、飲みかけていた硝子盃を電力遮断の悲哀なる焦慮で、天窓に被ったというのを、改めて思出すともなく、無意識か、はた、意識してか、知らず、しかくあらしめたものである。