Japanische Klassiker mit Furigana
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うすこうばい
薄紅梅
泉 鏡花
Lesen Sie 薄紅梅 (うすこうばい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.133 Zeichen · 122 Bildschirme
にはじまって、――ある雨の日のつれづれに表を通る山高帽子の三十男、あれなりと取らずんば――と二十三の女にして、読書界に舌を巻かせた、あの、すなわちその、怪しからん……しかも梅雨時、陰惨としていた。低い格子戸を音訪れると、見通しの狭い廊下で、本郷の高台の崖下だから薄暗い。部屋が両方にある、茶の間かと思う左の一層暗い中から、ひたひたと素足で、銀杏返のほつれながら、きりりとした蒼白い顔を見せた、が、少し前屈みになった両手で、黒繻子と何か腹合せの帯の端を、ぐい、と取って、腰を斜めに、しめかけのまま框へ出た。さて、しゃんと緊ったところが、(引掛け、)また、(じれった結び)、腰の下緊へずれ下った、一名(まおとこ結び)というやつ、むすび方の称えを聞いただけでも、いまでは町内で棄て置くまい。差配が立処に店だてを啖わせよう。
――「失礼な、うまいなり、いいえね、余りくさくさするもんですから、湯呑で一杯……てったところ……黙ってて頂戴。」――
端正どころか、これだと、しごきで、頽然としていた事になる。もっとも、おいらんの心中などを書く若造を対手ゆえの、心易さの姐娘の挙動であったろうも知れぬ。