Japanische Klassiker mit Furigana
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うすこうばい
薄紅梅
泉 鏡花
Lesen Sie 薄紅梅 (うすこうばい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.133 Zeichen · 122 Bildschirme
大塚の場末の――俥がその辻まで来ると、もう郡部だといって必ず賃銀の増加を強請る――馬方の通る町筋を、奥へ引込んだ格子戸わきの、三畳の小部屋で。……ああ、他事ながらいたわしくて、記すのに筆がふるえる、遥々と故郷から引取られて出て来なすっても、不心得な小説孫が、式のごとき体装であるから、汽車の中で睡るにもその上へ白髪の額を押当てて頂いた、勿体ない、鼠穴のある古葛籠を、仏壇のない押入の上段に据えて、上へ、お仏像と先祖代々の位牌を飾って、今朝も手向けた一銭蝋燭も、三分一が処で、倹約で消した、糸心のあと、ちょんぼりと黒いのを背に、日だけはよく当る、そこで、破足袋の継ぎものをしてござった。
さて、その、ひょいと持って軽く置くと、古葛籠の上へも据りそうな、小さな白髪の祖母さんの起居の様子もなしに、悉しく言えば誰が取次いだという形もなしに、土間から格子戸まで見通しの框の板敷、取附きの縦四畳、框を仕切った二枚の障子が、すっと開いて、開いた、と思うと、すぐと閉った。穴だらけの障子紙へ、穴から抜けたように、すらりと立った、霧のような女の姿。
姿を。……
ここから、南瓜の葉がくれに熟と覗くと、霧が濃くなり露のしたたる、水々とした濡色の島田髷に、平打がキラリとした。