Japanische Klassiker mit Furigana
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うすこうばい
薄紅梅
泉 鏡花
Lesen Sie 薄紅梅 (うすこうばい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.133 Zeichen · 122 Bildschirme
て、月村に空へ投出されたように思った。一雪め、小説なぞ書かなければ、雑誌編輯の用だと云って、こんな使いはしまいものを、お京め。と、隅田の川波、渺々たるに、網の大きく水脚を引いたような、斜向うの岸に、月村のそれらしい、青簾のかかった、中二階――隣に桟橋を張出した料理店か待合の庭の植込が深いから、西日を除けて日蔭の早い、その窓下の石垣を蔽うて、もう夕顔がほの白い……
……時であった。簾が巻き消えに、上へ揚ると、その雪白の花が、一羽、翡翠を銜えた。いや、お京の口元に含んだ浅黄の団扇が一枚。大潮を真南に上げ颯と吹く風とともに、その団扇がハッと落ちて、宙に涼しい昼の月影のようにひらひらと飜ると見るうちに、水面へスッと流れて、水よりも青くすらすらと橋へ寄った。その時悚然として、目を閉いで俯向いた――挨拶をしたかも知れない。――
さて何と思ったろう……その晩だったか、あと二三日おいてだったか、東雲の朝帰りに、思わず聞いた、「こんな身体で、墓詣りをしてもいいだろうか。」遊女が、「仏様でしたら差支えござんすまい。御両親。」その墓は故郷にある。「お許婚……?」「いや、」