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Japanische Klassiker mit Furigana

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かいろこう

薤露行

夏目 漱石

Lesen Sie 薤露行 (かいろこう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.925 Zeichen · 40 Bildschirme

Aozora Bunko

「知らぬ路にこそ迷え。年古るく住みなせる家のうちを――鼠だに迷わじ」と女は微かなる声ながら、思い切って答える。

男はただ怪しとのみ女の顔を打ち守る。女は尺に足らぬ紅絹の衝立に、花よりも美くしき顔をかくす。常に勝る豊頬の色は、湧く血潮の疾く流るるか、あざやかなる絹のたすけか。ただ隠しかねたる鬢の毛の肩に乱れて、頭には白き薔薇を輪に貫ぬきて三輪挿したり。

白き香りの鼻を撲って、絹の影なる花の数さえ見分けたる時、ランスロットの胸には忽ちギニヴィアの夢の話が湧き帰る。何故とは知らず、悉く身は痿えて、手に持つ燭を取り落せるかと驚ろきて我に帰る。乙女はわが前に立てる人の心を読む由もあらず。

「紅に人のまことはあれ。恥ずかしの片袖を、乞われぬに参らする。兜に捲いて勝負せよとの願なり」とかの袖を押し遣る如く前に出す。男は容易に答えぬ。

「女の贈り物受けぬ君は騎士か」とエレーンは訴うる如くに下よりランスロットの顔を覗く。覗かれたる人は薄き唇を一文字に結んで、燃ゆる片袖を、右の手に半ば受けたるまま、当惑の眉を思案に刻む。ややありていう。「戦に臨む事は大小六十余度、闘技の場に登って槍を交えたる事はその数を知らず。