Japanische Klassiker mit Furigana
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あいがめ
藍瓶
田中 貢太郎
Lesen Sie 藍瓶 (あいがめ) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.676 Zeichen · 10 Bildschirme
「いい、それがよけいなことなのだ、なぜ何時までもそんなことを云うのだ」
父親の左の眼が青く鬼魅悪く見えた。父親はじっと伜の顔に眼を移した。
「そうか、そうか、云ってわるいか、わるけりゃ云わない、お前ももう四十を過ぎた考えのある男だから、俺は何も云わん、俺はお前が人様に笑われないように、やってくれるならそれでいい」
女はその時そこにいるのがもうたまらないと云うようにして起ちあがった。単衣の上に羽織った華美なお召の羽織が陰鬱な室の中に彩をこしらえた。順作はそれに気をとられた。
「どこかへ往くのか」
「ちょっとそこまで往って来ますわ」
「どこだね」
「ちょっとそこですわ」
「飯を喫ってからにしちゃ、どうだね、俺も往くよ」
「でも、私、ちょっと歩いて来ますわ」
「じゃ、俺も散歩しよう」
「でも、家は」
「家は留守番が出来たから宜いよ」
「そう」
順作は起って父親の方を見た。
「腹が空いたら飯を喫ったら宜いだろう、ちょっと往って来るから」
「宜いとも、宜いとも、往って来るが宜い、俺は遅く物を喫ったから、何も喫いたくない」
女は背後の壁際に置いてある鏡台の前へ往って、ちょっと蹲んで顔を映し、それから玄関の方へ往った。