Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とうくろうのしま

藤九郎の島

久生 十蘭

Lesen Sie 藤九郎の島 (とうくろうのしま) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.765 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで話だが、大阪船の久七ぬしは鍛冶の心得があり、日向船の八五郎ぬしは船をつくったことがあるという。せっかく道具も器量も持ちあわしているのだから、思いきって、船づくりをはじめてみたらどうだろう」

それについて、八五郎がいった。

「われらのつもりでは、五人を乗せる船をつくればよいと、そういう船の形ばかり思案していたが、この島へ来て、おもいもかけぬ人数におどろき、船づくりのほうはさっぱりとあきらめてしまった。二十人からの人間を乗せ、何百里の海を走らせるには、これはもう相当な船でなければならぬ。とても叶わぬ望みだと思い捨てにしたが、いまの甚八ぬしの話で、思いなおした。やったらやれたという一と言が、胆にこたえた。わしのほうから頼むのだが、ここで思いきった大船をつくる。どうだろう。みなの衆、ひとつ手を貸してはくれまいか」

もとより異議のあろうはずはなく、仕掛から仕上げまで、大体三年と踏み、とりあえず久七が鞴を一座つくることになった。船材はいまある艀と、入江に流れ着く破船の古材を使うことにし、かわるがわる入江へ出て、たよりになる船材や丸木の着くのを待っていたところ、五十二日目に船底に使うのに恰好な厚い樟の板がうちあがってきた。