Japanische Klassiker mit Furigana
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とうくろうのしま
藤九郎の島
久生 十蘭
Lesen Sie 藤九郎の島 (とうくろうのしま) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.765 Zeichen · 19 Bildschirme
せめて雨露をしのぐところはないかと探してみると、渚から五町ほど東になったところに、高さ六尺ばかり、幅七、八尺の岩穴を二つ見つけたので、六人ずつ二組に分かれてそこをねぐらとすることにした。
島裏に行ってみると、国方で、藤九郎(阿呆鳥)といっている、掛目三貫匁もあるような大きな海鳥が、何百、何千となく岩磐の上に群居して騒がしく鳴きたてている。白いのもいれば、黒いのもいる。そうしてひとところに群がっているところは、大きな碁盤に黒白の碁石を置きならべたようであった。人間の味をしらず、そばまで行っても人臭いような顔もしないので、いくらでも手掴みでとれた。その肉はひがらくさい臭いがあったが、それさえ厭わなければ、一羽の鳥で、十二人がほどほどに飽くことができた。
粮米が尽きてからは、島の幸で命をつないだ。雨はきまったように三日おきに降るので、大きな鮑貝をいくつもならべ、足るほどに受けた。東側の入江の岸に、潮の流れが運んできた浮木が打ちあがってくる。どの船がどこで流したものか、焼印を押した淦水桶や楫柄、そうかと思うと、太い松の木が枝をつけたままで流れてきたりした。