Japanische Klassiker mit Furigana
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とうじゅうろうのこい
藤十郎の恋
菊池 寛
Lesen Sie 藤十郎の恋 (とうじゅうろうのこい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.078 Zeichen · 25 Bildschirme
お梶障子に縋り付いたまま身を悶えつつ泣き崩れる。藤十郎やや狼狽しながら、獣のごとく早足に逃げ去る。お梶の泣く声に交じるように千鳥の声が聞える)
第三場
第二場より七日ばかり過ぎたる一日。都万太夫座の楽屋。上手に役者たちの部屋部屋の入口が見える。その中でいちばん目立つのは梅鉢の紋の付いた暖簾のかかった藤十郎の部屋である。真ん中に楽屋番の部屋がある。下手に万太夫座の舞台に通ずる出入口がある。浅黄の暖簾が垂れている。あちらの舞台にては幕が開く前と見え、鼓と太鼓と笛の音が継続して聞える。幕が開くと、狂言方や下回りの役者たちが、五、六人左右に忙しく行き交う。楽屋番が、衣裳、腰の物などを、役者の部屋へ運んで行く。
万太夫座の若太夫が、藤十郎の部屋から出てくる。出合頭に頭取と挨拶する。
頭取 おめでとうござんす。今日も明六つの鐘が鳴るか鳴らぬに、木戸へはいっぱいの客衆でござりまする。
若太夫 めでたいのう。ほんに藤十郎どのじゃ。密夫の身のこなしが、とんとたまらぬと京女郎たちの噂話じゃ。
頭取 これでは、半左衛門の人々も、あいた口が、閉がらぬことでござりましょう。