Japanische Klassiker mit Furigana
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とうじゅうろうのこい
藤十郎の恋
菊池 寛
Lesen Sie 藤十郎の恋 (とうじゅうろうのこい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.078 Zeichen · 25 Bildschirme
甲 この頃の娘は、油断がならぬことじゃ。役者を慕うて楽屋まで、のめのめとはいって来る。
乙 それにしても、袖崎どのは果報じゃ。男知らずの町娘から、あのように慕われては、まんざら憎うはあるまい。はははは。
丙 それにしても、見物人のどよみよう。小屋が、割れるような大入りと見える。
四郎五郎 (相手の源次を失うて、ぼんやり立っていたが)江戸の少長に、この大入りの様子が見せたいのう。
弥五七 ほんとにそうじゃ。この狂言に比べると、浅間ヶ嶽の狂言などは、子供だましじゃ。
四郎五郎 浅間ヶ嶽に立つ煙もだんだん薄うなって行くのじゃ。はははは。
(霧浪千寿、美しいおさんに扮して、部屋から出て来る。金剛が付いている)
弥五七 昨日ちょっとある所で、聞いた噂じゃが、藤十郎どのは、今度の狂言の工夫に悩んだ揚げ句、ある茶屋の女房に恋をしかけ、密夫の心持や、動作の形を付けたということじゃが、真実かのう。
四郎五郎 わしは、しかとは知らぬが、千寿どのは、聞いたであろう。その噂は真実かのう。
千寿 そんな噂は、わしも人伝には聞いたがのう。藤様は、口をつぐんで何もいわれぬのでのう。