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Japanische Klassiker mit Furigana

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とうじゅうろうのこい

藤十郎の恋

菊池 寛

Lesen Sie 藤十郎の恋 (とうじゅうろうのこい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.078 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

心得がのうても、心得のあるように真実に見せるのが、役者の芸じゃ。油売りになれば、油売った心得がのうても、油売りになって見せるのは芸じゃ。密夫の心得がのうて、密夫の狂言ができねば、盗人の心得がのうては、盗人の狂言はできぬ訳合いじゃ。公卿衆になった心得がのうては、舞台の上で公卿衆にはなれぬ訳合いじゃ。埒もない沙汰じゃ。口性ない京童の埒もない沙汰じゃ。そのような沙汰が伝わっては、藤十郎の身近にいる人様のお内儀に、どのような迷惑をかけようとも計られぬわ。かまえて、打ち消して下さりませ。

千寿 ほんに藤様がいわれる通りじゃ。

弥五七 さすがは藤十郎様じゃ。なるほどなあ。心得がのうては狂言ができぬとなれば、役者は上は摂政関白から下は下司下郎のはしまで、一度はなって見なければ役者にはなれぬはずじゃ。なるほどなあ。

手代風の男 (藤十郎の部屋から出て来て)それでは、失礼いたしますでござりまする。

藤十郎 御苦労でござりました。大尽様に、よう礼をいうて下さりませ。

(手代風の男丁稚とともに去る。幕の開くこといよいよ近くなりしと見え、道具方楽屋方等の往復繁くなる)

藤十郎 (千寿を顧みて)千寿どの。