Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
「気息を殺さなくってもいいわ」
「じゃ気息を活かして寝転ぶか」
「寝転ぶのはもう好い加減になさいよ。そんなに行儀がわるいから外交官の試験に落第するのよ」
「そうさな、あの試験官はことによると御前と同意見かも知れない。困ったもんだ」
「困ったもんだって、藤尾さんもやっぱり同意見ですよ」
裁縫の手を休めて、火熨に逡巡っていた糸子は、入子菱に縢った指抜を抽いて、色に銀の雨を刺す針差を裏に、如鱗木の塗美くしき蓋をはたと落した。やがて日永の窓に赤くなった耳朶のあたりを、平手で支えて、右の肘を針箱の上に、取り広げたる縫物の下で、隠れた膝を斜めに崩した。襦袢の袖に花と乱るる濃き色は、柔らかき腕を音なく滑って、くっきりと普通よりは明かなる肉の柱が、蝶と傾く絹紐の下に鮮かである。
「兄さん」
「何だい。――仕事はもうおやめか。何だかぼんやりした顔をしているね」
「藤尾さんは駄目よ」
「駄目だ? 駄目とは」
「だって来る気はないんですもの」
「御前聞いて来たのか」
「そんな事がまさか無躾に聞かれるもんですか」
「聞かないでも分かるのか。まるで巫女だね。――御前がそう頬杖を突いて針箱へ靠たれているところは天下の絶景だよ。