Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
こちらから逃げ延びた五年の永き年月を、向では離れじと、日の間とも夜の間ともなく、繰り出す糸の、誠は赤き縁の色に、細くともこれまで繋ぎ留められた仲である。
ただの女と云い切れば済まぬ事もない。その代り、人も嫌い自分も好かぬ嘘となる。嘘は河豚汁である。その場限りで祟がなければこれほど旨いものはない。しかし中毒たが最後苦しい血も吐かねばならぬ。その上嘘は実を手繰寄せる。黙っていれば悟られずに、行き抜ける便もあるに、隠そうとする身繕、名繕、さては素性繕に、疑の眸の征矢はてっきり的と集りやすい。繕は綻びるを持前とする。綻びた下から醜い正体が、それ見た事かと、現われた時こそ、身のは生涯洗われない。――小野さんはこれほどの分別を持った、利害の関係には暗からぬ利巧者である。西東隔たる京を縫うて、五年の長き思の糸に括られているわが情実は、目の前にすねて坐った当人には話したくない。少なくとも新らしい血に通うこの頃の恋の脈が、調子を合せて、天下晴れての夫婦ぞと、二人の手頸に暖たかく打つまでは話したくない。この情実を話すまいとすると、ただの女と不知を切る当座の嘘は吐きたくない。