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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme

Aozora Bunko

甲野さんはまた日記を取り上げた。青貝の洋筆軸を、ぽとりと墨壺の底に落す。落したまま容易に上げないと思うと、ついには手を放した。レオパルジは開いたまま、黄な表紙の日記を頁の上に載せる。両足を踏張って、組み合せた手を、頸根にうんと椅子の背に凭れかかる。仰向く途端に父の半身画と顔を見合わした。

余り大きくはない。半身とは云え胴衣の釦が二つ見えるだけである。服はフロックと思われるが、背景の暗いうちに吸い取られて、明らかなのは、わずかに洩るる白襯衣の色と、額の広い顔だけである。

名のある人の筆になると云う。三年前帰朝の節、父はこの一面を携えて、遥かなる海を横浜の埠頭に上った。それより以後は、欽吾が仰ぐたびに壁間に懸っている。仰がぬ時も壁間から欽吾を見下している。筆を執るときも、頬杖を突くときも、仮寝の頭を机に支うるときも――絶えず見下している。欽吾がいない時ですら、画布の人は、常に書斎を見下している。

見下すだけあって活きている。眼玉に締りがある。それも丹念に塗りたくって、根気任せに錬り上げた眼玉ではない。一刷毛に輪廓を描いて、眉と睫の間に自然の影が出来る。