Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
見合す四人は、互に互を釘付にして立つ。際どい瞬間である。はっと思う刹那を一番早く飛び超えたものが勝になる。
女はちらりと白足袋の片方を後へ引いた。代赭に染めた古代模様の鮮かに春を寂びたる帯の間から、するすると蜿蜒るものを、引き千切れとばかり鋭どく抜き出した。繊き蛇の膨れたる頭を掌に握って、黄金の色を細長く空に振れば、深紅の光は発矢と尾より迸しる。――次の瞬間には、小野さんの胸を左右に、燦爛たる金鎖が動かぬ稲妻のごとく懸っていた。
「ホホホホ一番あなたによく似合う事」
藤尾の癇声は鈍い水を敲いて、鋭どく二人の耳に跳ね返って来た。
「藤……」と動き出そうとする宗近君の横腹を突かぬばかりに、甲野さんは前へ押した。宗近君の眼から活人画が消える。追いかぶさるように、後から乗し懸って来た甲野さんの顔が、親しき友の耳のあたりまで着いたとき、
「黙って……」と小声に云いながら、煙に巻かれた人を植込の影へ引いて行く。
肩に手を掛けて押すように石段を上って、書斎に引き返した甲野さんは、無言のまま、扉に似たる仏蘭西窓を左右からどたりと立て切った。上下の栓釘を式のごとく鎖す。