Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
愛嬌に調子を合せるとは思えない。上皮の文明は破れた。中から本音が出る。悄然として誠を帯びた声である。
「小野さん、そこに気がついているのかね」
宗近君の言葉には何だか暖味があった。
「いるです」と答えた。しばらくしてまた、
「いるです」と答えた。下を向く。宗近君は顔を前へ出した。相手は下を向いたまま、
「僕の性質は弱いです」と云った。
「どうして」
「生れつきだから仕方がないです」
これも下を向いたまま云う。
宗近君はなおと顔を寄せる。片膝を立てる。膝の上に肱を乗せる。肱で前へ出した顔を支える。そうして云う。
「君は学問も僕より出来る。頭も僕より好い。僕は君を尊敬している。尊敬しているから救いに来た」
「救いに……」と顔を上げた時、宗近君は鼻の先にいた。顔を押しつけるようにして云う。――
「こう云う危うい時に、生れつきを敲き直して置かないと、生涯不安でしまうよ。いくら勉強しても、いくら学者になっても取り返しはつかない。ここだよ、小野さん、真面目になるのは。世の中に真面目は、どんなものか一生知らずに済んでしまう人間がいくらもある。皮だけで生きている人間は、土だけで出来ている人形とそう違わない。