Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
――始めて御目に懸ったのだがどうか私を御信用下さい。――もう何とか云って来る時分だが、あいにくの雨で……」
雨を衝く一輛の車は輪を鳴らして、格子の前で留った。がらりと明く途端に、ぐちゃりと濡れた草鞋を沓脱へ踏み込んだものがある。――叙述は第三の車の使命に移る。
第三の車が糸子を載せたまま、甲野の門に々の響を送りつつ馳けて来る間に、甲野さんは書斎を片づけ始めた。机の抽出を一つずつ抜いて、いつとなく溜った往復の書類を裂いては捨て、裂いては捨る。床の上は千切れた半切で膝の所だけが堆くなった。甲野さんは乱るる反故屑を踏みつけて立った。今度は抽出から一枚、二枚と細字に認めた控を取り出す。中には五六頁纏めて綴じ込んだのもある。大抵は西洋紙である。また西洋字である。甲野さんは一と目見て、すぐ机の上へ重ねる。中には半行も読まずに置き易えるのもある。しばらくすると、重なるものは小一尺の高まで来た。抽出は大抵空になる。甲野さんは上下へ手を掛けて、総体を煖炉の傍まで持って来たが、やがて、無言のまま抛げ込んだ。重なるものは主人公の手を離るると共に一面に崩れた。
葡萄の葉を青銅に鋳た灰皿が洋卓の上にある。