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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme

Aozora Bunko

あるは、かなたと鳴る。山に入りて春は更けたるを、山を極めたらば春はまだ残る雪に寒かろうと、見上げる峰の裾を縫うて、暗き陰に走る一条の路に、爪上りなる向うから大原女が来る。牛が来る。京の春は牛の尿の尽きざるほどに、長くかつ静かである。

「おおい」と後れた男は立ち留りながら、先きなる友を呼んだ。おおいと云う声が白く光る路を、春風に送られながら、のそり閑と行き尽して、萱ばかりなる突き当りの山にぶつかった時、一丁先きに動いていた四角な影ははたと留った。瘠せた男は、長い手を肩より高く伸して、返れ返れと二度ほど揺って見せる。桜の杖が暖かき日を受けて、またぴかりと肩の先に光ったと思う間もなく、彼は帰って来た。

「何だい」

「何だいじゃない。ここから登るんだ」

「こんな所から登るのか。少し妙だぜ。こんな丸木橋を渡るのは妙だぜ」

「君見たようにむやみに歩行いていると若狭の国へ出てしまうよ」

「若狭へ出ても構わんが、いったい君は地理を心得ているのか」

「今大原女に聴いて見た。この橋を渡って、あの細い道を向へ一里上がると出るそうだ」

「出るとはどこへ出るのだい」

「叡山の上へさ」

「叡山の上のどこへ出るだろう」