Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
「何だ坂の途中で人を馬鹿にするな」
「そら、坂の途中で邪魔になる。ちょっと退いてやれ」
百折れ千折れ、五間とは直に続かぬ坂道を、呑気な顔の女が、ごめんやすと下りて来る。身の丈に余る粗朶の大束を、緑り洩る濃き髪の上に圧え付けて、手も懸けずに戴きながら、宗近君の横を擦り抜ける。生い茂る立ち枯れの萱をごそつかせた後ろ姿の眼につくは、目暗縞の黒きが中を斜に抜けた赤襷である。一里を隔てても、そこと指す指の先に、引っ着いて見えるほどの藁葺は、この女の家でもあろう。天武天皇の落ちたまえる昔のままに、棚引く霞は長しえに八瀬の山里を封じて長閑である。
「この辺の女はみんな奇麗だな。感心だ。何だか画のようだ」と宗近君が云う。
「あれが大原女なんだろう」
「なに八瀬女だ」
「八瀬女と云うのは聞いた事がないぜ」
「なくっても八瀬の女に違ない。嘘だと思うなら今度逢ったら聞いてみよう」
「誰も嘘だと云やしない。しかしあんな女を総称して大原女と云うんだろうじゃないか」
「きっとそうか、受合うか」
「そうする方が詩的でいい。何となく雅でいい」
「じゃ当分雅号として用いてやるかな」
「雅号は好いよ。世の中にはいろいろな雅号があるからな。