Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme

Aozora Bunko

藤尾の方はようやく胸が隙く。

「それじゃ、その続をあなたに話して見ましょうか」

人を呪わば穴二つと云う。小野さんは是非共ええと答えなければならぬ。

「ええ」

「二階の下に飛石が三つばかり筋違に見えて、その先に井桁があって、小米桜が擦れ擦れに咲いていて、釣瓶が触るとほろほろ、井戸の中へこぼれそうなんです。……」

糸子は黙って聴いている。小野さんも黙って聴いている。花曇りの空がだんだん擦り落ちて来る。重い雲がかさなり合って、弥生をどんよりと抑えつける。昼はしだいに暗くなる。戸袋を五尺離れて、袖垣のはずれに幣辛夷の花が怪しい色を併べて立っている。木立に透かしてよく見ると、折々は二筋、三筋雨の糸が途切れ途切れに映る。斜めにすうと見えたかと思うと、はや消える。空の中から降るとは受け取れぬ、地の上に落つるとはなおさら思えぬ。糸の命はわずかに尺余りである。

居は気を移す。藤尾の想像は空と共に濃かになる。

「小米桜を二階の欄干から御覧になった事があって」と云う。

「まだ、ありません」

「雨の降る日に。――おや少し降って来たようですね」と庭の方を見る。空はなおさら暗くなる。

「それからね。