Japanische Klassiker mit Furigana
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へび
蛇
Lesen Sie 蛇 (へび) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.073 Zeichen · 23 Bildschirme
何かわたくしの生活の基礎になるような思想があって、それを貫くためには、いかなるものをも犠牲にするという気になられたならば、これまでにどうにか解決が附いたのでしょう。世間の毀誉褒貶は顧みない。人が死んでも好い。自分が死んでも好いと云う事なら、解決が附いたのでしょう。それが無いので、今にぐずぐずしているのです。そして母はとうとう亡くなってしまう。妻もあんな風に気が狂ってしまう。わたくしもどうなるか知れません。」
主人の血走った目は、じいっと己の顔に注がれている。己はぞっとした。清吉爺いさんだけは腕組みをして俯向いている。十一時の時計が鳴った。
「そんなら、さっきまで声のしていたのが奥さんですね」と、己は問うた。
「そうです。いつでも十一時前まではあの通りです。幻覚か何かがある様子であんな工合にしゃべり続けていて、草臥れ切るまでは寐ないのです。」
「なるほど。清吉さんの話では、奥さんが嘉言善行というような話が嫌いだと云ったのが、内輪の面白くなくなる初めだということでしたが、一体どういうわけだったのですか。」
「実に馬鹿げ切っているのです。妻の考では人間に真の善人というものは無い。