Japanische Klassiker mit Furigana
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じゃせいのいん
蛇性の婬
田中 貢太郎
Lesen Sie 蛇性の婬 (じゃせいのいん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.880 Zeichen · 54 Bildschirme
彼はそのまま外へ出たが、足を止めるのが恐ろしいので足の向くままに歩いた。彼は清波門の外へ往っていた。彼はそこへ往ってから気が注いて、これからどうしたものだろうかと考えた。しかし、それからどうしていいか、どう云う手段を採っていいかと云う考えはちょっと浮ばなかった。と、金山寺の法海禅師の云った偈の句が浮んで来た。それと同時に再び畜に纏われたなら、湖南の浄慈寺にわしを尋ねて来いと云った法海禅師の詞が浮んで来た。彼はそれに力を得て浄慈寺の方へ往った。
浄慈寺には監寺の僧がいた。許宣は監寺に法海禅師のことを訊いた。
「法海禅師にお眼にかかりたいのですが」
「法海禅師は、一度もこの寺へいらしたことはないです」
許宣は力を落して帰った。そして長橋の下まで来た。許宣はこれからどうしていいか判らなかった。彼は湖水の水に眼を注けた。俺が一人死んでしまえば、何人にも迷惑をかけないですむと思いだした。彼の眼の前には暗い淋しい世界があった。彼はいきなり欄干に足をかけて飛びこもうとした。と、後から声をかける者があった。
「堂々たる男子が、何故生を軽んじる、事情があるなら商量にあずかろうじゃないか」