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Japanische Klassiker mit Furigana

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くものゆめ

蜘蛛の夢

岡本 綺堂

Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

その夕立もようやく通り過ぎて、ゆう日のひかりが薄く洩れて来たので、母もわたくしも生きかえったように元気が出て、蚊帳をはずしたり、雨戸を明けたりしていると、どこの家でも同じことで、雨戸をあける音や、人の話し声や、往来をあるく足音や、それらが一緒になって、世間は夜があけたように賑やかになりました。

「さっきのかみなり様は一つ、どこか近所へお下りなすったに相違ないよ。」と、母は言いました。

「そうでしょうねえ。」

そんなことを話し合っているうちに、表はいよいよ騒がしくなって、大勢の人が駈けて行く足音がきこえます。そうして、女だとか若い女だとかいう声がきこえます。何事が起ったのかとわたくしも表へ出てみると、横町の中ほどにある銀杏のまわりに大勢の人があつまっているので、雷はあすこへ落ちたのだろうと思いましたが、若い女だというのが判りません。もしや誰かが雷に撃たれたのかと、怖いものを見たさに駈けて行きますと、案の通り、そこには若い女が倒れているのでございます。

女は雨やどりをするつもりで銀杏の下へ駈け込んだのか、それとも、ちょうど銀杏の下を通りかかったのか、いずれにしても、その木に雷が落ちたために、女も撃たれて死んだらしいのです。