Japanische Klassiker mit Furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme
一種の好奇心にそそられて、すぐに表へ出ると、折井君は先に立って行く。田島さんと予はあとについて行く。やがて下河原の橋を渡って含満ヶ渕に着く。たびたび散歩に来たところなれど、ここで昨夜おそろしい殺人の犯罪が行われたかと思うと、ふだんでも凄まじい水の音が今日はいよいよ凄まじく、踏んでいる土は震うように思わる。ここの名物の化地蔵が口を利いてくれたら、ゆうべの秘密もすぐに判ろうものを、石の地蔵尊は冷たく黙っておわします。予は暗い心持になって、おなじく黙って突っ立っていると、折井君は鷹のような眼をして頻りにそこらを眺めまわしている。田島さんもそれと競争するように、眼をはだけてきょろきょろしている。
やがて田島さんはバットのあき箱を拾うと、折井君は受取って子細らしく嗅いでみる。箱をあけて振ってみる。それからまた三十分ばかりもそこらをうろうろしているうちに、折井君は草のあいだから薄黒い小鳥の死骸を探し出したり。ようように巣立ちをしたばかりの雛にて、なんという鳥か判らず。田島さんは時鳥だろうという。折井君は黙って首をかしげている。ともかくもその雛鳥の死骸とバットの箱とを袂に入れて折井君はもう帰ろうと言い出したれば、二人も一緒に引っ返す。