Japanische Klassiker mit Furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme
その途中、橋番の小屋に寄って、おやじにもその喜びを報告しようと思ったのであるが、かれは不思議に舌がこわばって、なんにも言うことができなかった。
橋番の方はまずあしたでもいいとして、彼は差しあたりその金の始末に困った。勿論、あたり札、百両といっても、そのうち二割の二十両は冥加金として奉納して来たので、実際自分のふところにはいっているのは金八十両であるが、その時代の八十両――もとより大金であるから、彼は差しあたりの処分にひどく悩んだ。
正直なかれは、この機会に方々の小さい借金を返してしまおうと思った。それでも五両ほどあれば十分であるから、残りの七十五両をどうかしなければならない。床下にうずめて置こうかとも考えたが、ひとり者の出商売の彼としては留守のあいだが不安であった。
金を取ったらどう使おうかということは、ふだんから能く考えて置いたのであるが、さてその金を使うまでの処分かたについては、かれもまだ考えていなかったので、今この場にのぞんで俄かに途方にくれた。かれは重いふところを抱えて癪に悩んだ人のようにうめいていたが、やがてあることを思い付いた。彼はすぐにまた飛び出して、町内の左官屋の親方の家へ駈け込んだ。