Japanische Klassiker mit Furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme
火がなくては暗くて判らない。火があっては相手が出て来ない。まことに始末が悪いので、かれらは相談して一種の陥し穽を作ることにした。その通路であるらしい所に、二ヵ所ばかりの深い穴を掘り下げて、枯柴や藁などでその上を掩って置いたが、それもやはり成功しなかった。
「海から来るならば格別、もし山から来るならば足跡のつづいていない筈はない。根よくそれを穿索してみろ。」
老人たちに注意されて、成程と気付いた若者どもは、さらに足跡の詮議をはじめると、山の方角にはどうもそれらしい跡を発見し得なかったので、怪しい馬はやはり海から上って来ることに決められてしまった。
「海馬か、トドだ。」
海獣が四本の足を持っているかどうかということを、その時代の人たちは考えなかったらしく、それを一種の海獣と鑑定したのである。そのうちに、ここにひとつの事件が起った。
それは二月なかばの陰った夜である。本来ならば月の明るい頃であるが、今夜は雨もよいの暗い空に弱い星の光りが二つ三つひらめいているばかりであった。こんな晩には出て来るかも知れないと、馬狩りの群れは手配りして待ち構えていると、やがてかの嘶きの声がきこえた。