Japanische Klassiker mit Furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme
かたがたかの怪しい馬を狩り取れということになって、屈竟の侍が八十人、鉄砲組の足軽五十人、それぞれが五組に分れて、四月十二日の夜に大仕掛けの馬狩りをはじめた。先夜の七人も皆それぞれの部署についた。
四月に入ってから雨もよいの日が続いたのは、月夜を嫌う馬狩りのためには仕合せであった。しかし第一夜は何物をも見いだし得なかった。第二夜もおなじく不成功のうちに明けた。第三夜の十四日の夜も亥の刻(午後十時)を過ぎた頃に、第四組が多々良川のほとりで初めて物の影を認めた。合図の呼子笛の声、たいまつの光り、それが一度にみだれ合って、すべての組々も皆ここに駈け集まった。神原茂左衛門は第五の組であったが、場所が近かったために早く駈けつけた。
怪しい影は水のなかを行く。それを取逃がしてはならないというので、侍は岸を遠巻きにした。足軽組は五十挺の鉄砲をそろえて釣瓶撃ちにうちかけた。それに驚かされたかれは、岸の方にはもう逃げ路がないと見て、水の深い方へますます進んで行く。それを追い撃ちにする鉄砲の音はつづけて聞えた。またその鉄砲の音を聞きつけて、村の者もほとんど総出で駈け集まって来た。