Japanische Klassiker mit Furigana
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とししゅん
蜘蛛の糸・杜子春
Lesen Sie 蜘蛛の糸・杜子春 (とししゅん) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.703 Zeichen · 52 Bildschirme
――彼はそう思いながら、トロッコの側へ駈けて行った。
「おじさん。押してやろうか?」
その中の一人、――縞のシャツを着ている男は、俯向きにトロッコを押したまま、思った通り快い返事をした。
「おお、押してくよう」
良平は二人の間にはいると、力一杯押し始めた。
「われは中中力があるな」
他の一人、――耳に巻煙草を挟んだ男も、こう良平を褒めてくれた。
その内に線路の勾配は、だんだん楽になり始めた。「もう押さなくとも好い」――良平は今にも云われるかと内心気がかりでならなかった。が、若い二人の土工は、前よりも腰を起したぎり、黙黙と車を押し続けていた。良平はとうとうこらえ切れずに、怯ず怯ずこんな事を尋ねて見た。
「何時までも押していて好い?」
「好いとも」
二人は同時に返事をした。良平は「優しい人たちだ」と思った。
五六町余り押し続けたら、線路はもう一度急勾配になった。其処には両側の蜜柑畑に、黄色い実がいくつも日を受けている。
「登り路の方が好い、何時までも押させてくれるから」――良平はそんな事を考えながら、全身でトロッコを押すようにした。
蜜柑畑の間を登りつめると、急に線路は下りになった。