Japanische Klassiker mit Furigana
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われはうたえども やぶれかぶれ
蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ
室生 犀星
Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ (われはうたえども やぶれかぶれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.726 Zeichen · 90 Bildschirme
読売文学賞の会合で私は青野季吉の隣の椅子に腰を下ろしていたが、十二月のことで季吉さんは、こほ、こほと控えめな咳をしていられた。私はいくらかの愛嬌半分にあなたは咳をしていられるが、風邪だとすると隣にいてはうつりはせんかな、と、あやふやに言ったが受けとる方では、こんな言い方をされると愉快なものではない、(それに気づいたのは後のことだが、)それから五分間くらい経つと季吉さんはそっと立って向い側の席にうつられた。そっと立つというよりも、あるいは突然に立ったようにも思われ、これは言わなくともよいことを言ったなと、自ら私はいましめるところがあったがもう遅い。時折、私という人間は飛んでもないことを口走る妙な男なのだ。そしてご丁寧にもそれから二週間くらい経ったその会合の席でも、私は季吉さんの隣の椅子に坐っていた。こんどは季吉さんの風邪が治ったらしく、ごほごほいう咳はしなかった。私は言った。此の間あなたがお風邪気味だったので、うつるとか、うつらんとか失言しましたが気にしないでいただきたいと訂正して言った。季吉さんはあの日の風邪はとうに治りましたよと、新しい手巾で口元を拭かれた。