Japanische Klassiker mit Furigana
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われはうたえども やぶれかぶれ
蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ
室生 犀星
Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ (われはうたえども やぶれかぶれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.726 Zeichen · 90 Bildschirme
熱があっても私は湯殿に下りて毎朝髭を剃り、顔はていねいにあたっていたが、この十日ばかり剃刀が引っかかってばかりいて、すみやかな刃わたりがなかった。これは、ひふがかさかさしてあぶら気を失うているからだ。けれども病んできたない茫々の髭っ面を人に見せたくなかったし、医師にも礼儀を感じて顔を剃った。だが、時間のかかるこの髭剃りが引っかかってばかりいるのと、剃り落しがあちこちにあることから、こういうところに私の平常の健康がもはやなくなっていることが察しられた。ひふのよわりはその下にある肉体のふかいところから、おとろえを見せている。これを無理に剃るということは乱暴なことなのだが、朝が来るとやはり剃刀をつかい、髭が剛く剃刀がじゃりじゃりして停って動かない時があった。まるで肉を削ぎとるようなものだ、傷は数ヵ所にあって人間のひふにも荒地のあることが知られた。
翌日列車に乗りこんでから検温してみると、八度あった。微熱ばかりの六十日の間で一等高い発熱、汽車も乗客も熱で、列車が宙に走っていて煙と埃と人がコバルトで彩色したように見え、私は窓につかまりながら弁当を食った。