Japanische Klassiker mit Furigana
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われはうたえども やぶれかぶれ
蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ
室生 犀星
Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ (われはうたえども やぶれかぶれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.726 Zeichen · 90 Bildschirme
早脚でそこを通りすぎるとこういうところに女の人達の控え室があったのかと、見てはならないものを見た怖れで此処を去った。元の放射室前に戻ると例の男はもう放射時間が終ったらしく、椅子の上にはいなかった。私は寝台の上にあがると例によっておんなのことを考えようとする、時間の消える方法に没しようとしたが、この日どういうわけか、おんなという感覚がちっとも頭に来なくて、茫漠と捉えどころのないおんなのいないおんなの考えに出会した。これはこの日に初めて起ったものではなく、おんながうまく考えあてられたのはほんの二三日しかなくて、あとは今日のようにおんなはさっぱり現われて来ない日ばかりが続いていた。これは私にはもはや毎日おんなを考えようとしても、慾情が枯れかかっていることに原因があること、もはやおんなですら私のたすけになることが稀薄になっていることがわかり、無理にこの思いに突きこんでもむだであることを知った。では何処かの景色とか街とかはどうであろう、併しそんなものは猶更むだであった。むしろこの海鳴りのあるコンクリの四囲の壁がこいが次第にうすい灰鼠をあびている色はどうだろう、私は時計だけを最後に見ていた。