Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

われはうたえども やぶれかぶれ

蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ

室生 犀星

Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ (われはうたえども やぶれかぶれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.726 Zeichen · 90 Bildschirme

Aozora Bunko

奥テル子の顔の容子も何時もよりずっと近くで見たような透明さがあった。窓の外の亜米利加大使館の星条旗のひらめくのを見上げたときにも、その鮮明さの彩りがなまなましいくらいに見えた。私自身はからだが軽快になり気分のはればれしさは、煙草の味わいが肉をたべるようにうまかった。こんな日もあるのかと寝台から下りて放尿の用意にかかろうとして初めて気づいた。カテーテルを何処かに落してしまっていたのだ。らくもらくの筈だ。私は寝台の上にあぐらをかいて展望した。おれのカテーテルは何処にあるのかと、誰もそれを知らないしそれを捜し廻る必要もない、三十分でも一時間でもこうしていてやろうと、奥テル子がどうして急にあんなに私の機嫌が好くなったのかという顔をし、相子が剥いて出した梨の白い頭をじゃぶじゃぶ齧り出した。

その時、副室から這入って来た井荻看護婦はアルミの盆を捧げるように持ち、その盆の上に私の落したカテーテルが載せられているのを私はじろりと睨んだ。長いゴムと、鋼鉄の鍵と、こいつが私を苦しめ飽くこともなくつけ廻しているのだと、むしろ穢い物を見る無関心さで鼻先でふふんとあしらった。