Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みかん
蜜柑
佐左木 俊郎
Lesen Sie 蜜柑 (みかん) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.618 Zeichen · 14 Bildschirme
彼女の眼にも熱いものが湧いて来た。低声の会話の中に、鼠の走る音と、家人の鼾の音とが折々はさまれていた。
五
感激が祟って、お婆さんは夜明けまで興奮し続けた。うつらうつらとまどろみかけたのは、それからであった。
「ナア! ナア!」いう細い消え入るような声で、眼が覚めた時には、短い日はもう十時を廻っていた。
枕元には、いま障子の破れ穴から飛び込んで来た三毛が、ぶるぶるっと毛繕いして、ものほしそうに鳴いていた。猫の鼻先には、粥の土鍋と梅干の器物が置かれてあった。廊下の日向には、善三が、猫の午睡所を占領していた。
「善三があ? 善三。」
お婆さんは、低い嗄れた声で、障子にうつる影に呼びかけた。
善三は、青い篠竹を三本切って来て、何か拵えようとしているのであった。昨日の午後、お婆さんから蜜柑を買って来るように言い付かって、五銭白銅を二枚持って出て行ったきり、そのままお婆さんのところへ寄り付かなかったのであったが、もうそのことも忘れているらしかった。
「昨日な頼んだ蜜柑はやあ? 善三。」
「蜜柑、どこにも、無がった。」
「蜜柑が無がったあ? ほして、銭はやあ?」