Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みかん

蜜柑

山本 周五郎

Lesen Sie 蜜柑 (みかん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.307 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

元より未熟者ですから御意にかなわぬことが多いかも知れませぬ、けれどもわたくしと致しましては、御奉公のために身命をつくす覚悟は片ときも忘れたことはございませぬ」

はらはらと溢れおちる涙をぬぐいもせず、拳をふるわせながら源四郎は云った。

「今日もまた重ねてのお叱り、どうしたらまことの御奉公が相なりましょうか、恐れながらお教えをねがいたいと存じます」

「…………」

「これがさいごの御面晤なれば、ふたたび御教訓をねがうことはかないませぬ、どうすればいちにんまえのお役にたちましょうか、枉げてお教えをねがいます」

無念さにふるえる声と、ひきつるような源四郎の表情を黙って見まもっていた直次は、やがてしずかに手をあげて左右に振った。

「……大夫!」

去れという身振りだと気付いて、源四郎は思わず叫びながら身をのりだした。しかしすぐに、走って来た家扶が、

「大高どの、おひかえなさい」と制止した。源四郎はその声で、さすがにはっとわれにかえった。そして、会釈をするのもそこそこに、まるで逃げるような足どりでそこを去った。

――無念だ。無念だ。

どう考えなおしても彼の心はしずまらなかった。