Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうもり

蝙蝠

岡本 かの子

Lesen Sie 蝙蝠 (こうもり) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.107 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

二人があまり気の合っている様子である。青春から結婚、それは関わない。もしそこに母親である自分の愛も挟める余地のあるものでさえあったら……だが二人の様子を見ると、そういう母親の気苦労を知らない若い男女は、年老いた寡婦の唯一の慰めを察して、二人の切情をも時に多少は控えても、自分の存在を中間に挟めて呉れるであろうか。皆三は一徹者だし、お涌は無邪気すぎる女である。そこまで余裕のある思い遣りが、二人の間につくかどうかが疑問で、あるとき、お涌の髪に手を入れてやり乍ら訊いた。

「お涌さんは、どういうところへお嫁に行く気」

お涌は

「知りませんわ」

と笑った。

「でもまあ、云ってご覧なさい」

となおねつく訊くと

「やっぱり世間通りよ。うちで定めて呉れるところへですわ」

と答えた。

これはお涌にしてみれば、嘘の心情ではなかった。

それから少したって、母親は晩飯のとき皆三に訊ねた。

「皆さん、妙なことを訊くようだが、もうお前さんも学校は卒業間際だから訊いとくが、何かい、お嫁なら向うの家の娘さんでも貰いなさるかね」

母親は、わざとお涌を娘さんといったり、息の詰るのを隠して何気なく云った。