Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かにこうせん
蟹工船
小林 多喜二
Lesen Sie 蟹工船 (かにこうせん) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.890 Zeichen · 125 Bildschirme
――川崎船の第36号の「3」がカンナでけずり落されて、「第六号川崎船」になってしまった。
「これでよし。これでよし。うッはア、様見やがれ!」監督は、口を三角形にゆがめると、背のびでもするように哄笑した。
これ以上北航しても、川崎船を発見する当がなかった。第三十六号川崎船の引上げで、足ぶみをしていた船は、元の位置に戻るために、ゆるく、大きくカーヴをし始めた。空は晴れ上って、洗われた後のように澄んでいた。カムサツカの連峰が絵葉書で見るスイッツルの山々のように、くっきりと輝いていた。
行衛不明になった川崎船は帰らない。漁夫達は、そこだけが水溜りのようにポツンと空いた棚から、残して行った彼等の荷物や、家族のいる住所をしらべたり、それぞれ万一の時に直ぐ処置が出来るように取り纏めた。――気持のいいことではなかった。それをしていると、漁夫達は、まるで自分の痛い何処かを、覗きこまれているようなつらさを感じた。中積船が来たら托送しようと、同じ苗字の女名前がその宛先きになっている小包や手紙が、彼等の荷物の中から出てきた。そのうちの一人の荷物の中から、片仮名と平仮名の交った、鉛筆をなめり、なめり書いた手紙が出た。