Japanische Klassiker mit Furigana
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はえおとこ
蠅男
海野 十三
Lesen Sie 蠅男 (はえおとこ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.129 Zeichen · 237 Bildschirme
さあ、そいつは――そいつは豪いこっちゃ。どないしまほ」
そのとき廊下をボーイが、急ぎ足でやって来た。
「ああ、いま帳場に電話が来とりまっせ。井上一夫はんいうお客さんからだす」井上一夫? ああ井上一夫といえば、蠅男の仮称である。蠅男はいまごろ何の用あってホテルに電話をかけてきたのだろうか。三人は恐怖のあまり言葉もなく、サッと顔色を変えた。
蠅男の声
井上一夫という偽名を使っている怪人蠅男が、ホテルへ電話をかけてきたというボーイの注進である。
帳場氏はもちろん真蒼に顔色をかえると、勇猛をもって鳴る大川司法主任も、空のトランクから手を放して、木製人形のように身体を硬直させた。ひとり帆村探偵は、咄嗟の間にも、この際どうすればいいかを知っていた。
「さあ君、帳場に来ている蠅男の電話を、早くその電話器につなぎかえたまえ」
と、この三三六号室の卓上電話器を指した。
帳場氏はオズオズと受話器に手をかけた。間もなく蠅男の声が、そのなかに流れこんできた。
「えッ、帆村さんだすか。へえ、居やはりま。いま代りますさかい。――」
帳場氏は帆村の方をむいて、蛇でも渡すかのように、受話器をさしだした。