Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はえおとこ

蠅男

海野 十三

Lesen Sie 蠅男 (はえおとこ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.129 Zeichen · 237 Bildschirme

Aozora Bunko

そしてバットに火を点けて、うまそうに煙を吸った。

「――東京は、わりあいに暖いようですね」

「――はア暖こうございましたが」

と、上原青年は眼をパチパチさせた。

「今朝早く、鴨下さんを迎えにゆかれたんですね」

「はア――そうです」

「雨のところを、大変でしたネ」

「ええッ――そうでございます」

「あの、板橋区の長崎町も、随分開けましたネ」

「あッ、御存じですか、鴨下さんの住んでいらっしゃる辺を――」

「いや、こうしてお目に懸るまで、存じませんでしたが」

若い男女は、愕きの目を見張って、互いに顔を見合わせた。

「きょうの列車は、燕号ですネ。だいぶん空いていましたネ。お嬢さんは、よく睡れましたか」

これを聞いていたカオルは、真青になった。

「ああ、もうよして下さい。気持が悪くなりますわ。探偵なんて、なんて厭な商売でしょう。まるであたしたち、監視されていたようですわ」

帆村は、笑いかけた顔を、急に生真面目な顔に訂正しながら、

「やあ、お気にさわったらお許し下さい。もうお天気の話はよします」

といって、指先に挟んだ莨をマジマジと見るのであった。

そこへ電話口へ出ていた村松検事が帰ってきた。