Japanische Klassiker mit Furigana
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はえおとこ
蠅男
海野 十三
Lesen Sie 蠅男 (はえおとこ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.129 Zeichen · 237 Bildschirme
「おお出ている出ている、茶色の煙がねえ」
帆村は、腕がしびれるほど、望遠鏡をもちあげて、破れ煙突から出る煙をジッと見守っていた。
あの煙突から、昨夜の十時から今朝までも、あのとおり煙が出っ放しなんだろうか? そしてあの煙突の下に、果して臭気の原因があるのだろうか?
「あの建物は、なんですかねえ」
「さあ詳しいことは知りまへんけど、この辺の人は、あれを『奇人館』というてます。あの家には、年齢のハッキリせん男が一人住んでいるそうやと云うことだす」
「ほう、それはあの家の主人ですか」
「そうだっしゃろな。なんでも元は由緒あるドクトルかなんかやったということだす」
「外に同居人はいないのですか、お手伝いさんとか」
「そんなものは一人も居らへんということだす。尤も出入の米屋さんとか酒屋さんとかがおますけれど、家の中のことは、とんと分らへんと云うとります」
「そのドクトルとかいう人物とは顔を合わさないのですか」
「そらもう合わすどころやあれへん。まず注文はすべて電話でしますのや。商人は品物をもっていって、裏口の外から開く押入のようなところに置いてくるだけや云うてました。するとそこに代金が現金で置いてありますのや。