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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちぬられたかいとう

血ぬられた懐刀

国枝 史郎

Lesen Sie 血ぬられた懐刀 (ちぬられたかいとう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.586 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

幸福に、幸福に、幸福に! ……でも私達は林や野や、小さい駅や宿で住む! でもちっとも違いはない。幸福にさえ暮らそうとしたら……きっと幸福にくらすことが出来る!」

「わしは今でも幸福だよ、たった今私は幸福になった。……しかし、お前には、秋安というお方が……」

「何にも有仰って下さいますな。……もう逢ったのでございます。……逢ったも同じなのでございます……」

拭くに由無い満眼の涙! 萩野の眼頭から流れ出たが、頬を伝わって頤まで来た。昔の恋を思い断って、新しい恋に生きようとする、悲しみと喜びの涙なのである。

花園の森は昼の日に明るく、草木と人とを照らしている。その中で桜花が蒸されている。

が、間もなく森の中から、十数人の香具師達が、流浪の人に特有の、軽快な自由な足どりで、笑いさざめきながら現われた。

近江をさして行くらしい。

その先頭に歩いて行くのは、新婿新妻を想わせるところの、梶太郎とそうして萩野であった。

肩と肩とを寄せ合って、つつましやかに歩いて行く。

野には陽炎、小鳥の声々! そうして行手にあるものは、新しい恋と生活とである。