Japanische Klassiker mit Furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme
頼母は、そういう気味悪い沈黙の紙帳を前にして、石像のように立ち尽くしていた。構えている刀の切っ先が顫えているのは、彼の心が焦慮している証拠であった。
(何故沈黙っているのだろう? 何が行われているのだろう? ……栞はどうしているのだ? ……いや栞は何をされているのだろう?)
恋人の栞が、殺人鬼のような左門と、紙帳の中にいる。二人ながら黙っている。何をされているのだ? もしや咽喉でも絞められて? ……
これを思うと頼母の腸は掻きられるようであった。
必死のお浦
この時、遙かの林の奥から、喊声が聞こえて来た。五郎蔵たちの一団と、戸板を置き捨て、逃げて行った二人の乾児とが邂逅い、二人の乾児によって、頼母と、お浦と、典膳との居場所を知った五郎蔵たちの揚げた声であった。
「逃がすな!」「もう一息だ!」
二十数人の一団は、藪を廻り、木立ちを巡り、枯れ草を蹴開き、無二無三に走った。
「いたぞーッ」
という叫びをあげたのは、先頭切っていた五郎蔵であった。
「左門などには眼をくれるな! 頼母とお浦と典膳とを仕止めろ!」
こう五郎蔵が叫んだ時には、長脇差しを抜いていた。