Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme

Aozora Bunko

「誰じゃ?」

と云いながら薪左衛門は、立てない足を躄らせ、塚の縁の方へ身を進めた。

「渋江典膳にござりまする。……二十年以前浪人組栄えました頃、組の中におりました、渋江典膳にござりまする!」

「渋江典膳? おお渋江典膳! ……存じおる! 存じおるとも! 組中にあっても、有力の人物であった! ……来栖勘兵衛と、特に親しかった筈じゃ」

「さようにござりまする。私は来栖勘兵衛お頭の秘蔵の腹心、伊丹東十郎氏は、有賀又兵衛お頭の無二の腹心として、組中にありましても、重く使用いられましてござりまする」

「伊丹東十郎? ……おお伊丹東十郎! ……覚えておる覚えておる! わしに一番忠実の男だった。……どうして今日まで思い出さなかったのであろう? ……おおそういえば、さっき聞こえて来たあの声、『秘密は剖かない、裏切りはしない、助けてくれーッ』と云ったあの声は、まさしく伊丹東十郎の声だった。……おお、俺はすっかり思い出したぞ。……あの時、二十年前、甲州の鴨屋方を襲い、莫大もない金銀財宝を強奪し、帰途、五味左衛門方を訪れ、天国の剣を強請り取り、それを最後に組を解散し、持ち余るほどの財を担い、来栖勘兵衛と俺と、そちと伊丹東十郎とで、この道了塚まで辿って来、いつもの隠匿所へ、財宝を隠匿したが……」