Japanische Klassiker mit Furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme
しかし、腰から下を浸している水の、何んと粘っこく、黐かのように感じられることか! どうにも水切りすることが出来ないのであった。
と、その時、頭上から、土塊と一緒に、何物か崖を辷って落ちて来、岩に当たり、幽かな音を立て、水へ落ちた。
典膳は、水面を見た。細い長い木箱が、月光で銀箔のように光っている水に浮いて、二、三度漂い廻ったが、やがて下流の方へ流れて行った。
典膳は、崖の上を振り仰いだ。
生々と白く、肥えて円い、女の腕が、長く延びて差し出されてい、指が、何かを求めるように、閉じたり開いたりしていた。
「あ」
と、典膳は、思わず声を上げた。意外だったからである。しかし、次の瞬間には、誰か、女が、この身を助けよう、引き上げようとして、手を差し出してくれたのだと思った。
「お助けくださいまするか、忝けのうござる。生々世々、ご恩に着まするぞ」
と、典膳は、咽喉にこびりついて容易に出ない声を絞って云い、一気に勇気を出し、川から岩の上へ這い上がった。
栞の恋心
腕の主はいうまでもなくお浦で、お浦は、この期になっても、恋しい男の頼母へ渡そうと、抱えていた天国の刀箱を、不覚にも川の中へ落としたので驚き、延ばしている腕を一層延ばし、思わず指を蠢かしたのであった。