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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme

Aozora Bunko

が、柔らかい紐のように付いていた。ことごとく春酣の景色であった。

「おや」と呟いて、栞は、堰の縁へ、赤緒の草履の足を止めた。水面に、水藻をまとい、目高の群に囲まれながら、天国と箱書きのある刀箱が、浮いていたからである。

名刀天国

(天国といえば、気を狂わせておられるお父様が、狂気の中でも、何彼と仰せられておられた名剣の筈だが……)

それが、こんな堰に浮いているとは不思議だと、栞は、しばらく刀箱を見ていたが、やがて蹲むと、刀箱を引き上げた。箱からしたたるビードロのような滴を切り、彼女は、両手で刀箱を支え、じっと見入った。ゆかしい古代紫の絹の打ち紐で、箱は結えられていた。箱は、柾の細かい、桐の老木で作ったものであり、天国と書かれた書体も、墨色も、古く雅ていた。

(ともかくもお父様へお目にかけて……)

その裾の辺りへ去年の枯れ草を茂らせ、ところどころ壁土を落とした築地。鋲は錆び、瓦は破損み、久しく開けないために、扉に干割れの見える大門。――こういうものに囲まれた彼女の屋敷は、廃屋の見本のようなものであったが、栞は、その大門の横の潜門をくぐって屋敷の中へはいって行った。