Japanische Klassiker mit Furigana
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けつえきがたさつじんじけん
血液型殺人事件
甲賀 三郎
Lesen Sie 血液型殺人事件 (けつえきがたさつじんじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.256 Zeichen · 71 Bildschirme
署長は暫く私の顔を見つめていたが、その事については、もう追及しようとせず、質問の鉾先を一転したのだった。
「君は笠神博士の所へ、よく出入するそうですね」
「は」
いよいよ来たなと思った。私がひそかに恐れていたのはそれだった。全く私は笠神博士の所へは繁々出入した。今では私は博士を啻に恩師としてでなく、慈父のように慕っているのだ。静かに考えて見ると、私は別にその為に恐れる所はないのだ。よし笠神博士と毛沼博士とが、恋の三角関係があったにせよ、それはもう二十数年も以前の事なのだ。その当時こそ互にどんな感情を持ったか分らないが、爾来二人は同じ学校に講堂を持って、何事もなく年月を送り、今はもう互に五十の年を越えている。今更二人の間にどうという事があろう筈がない、従って毛沼博士が自宅の一室で変死を遂げたにせよ、それが笠神博士に関係がありそうな事はないのだ。
然し、今こうやって、署長から事新しく毛沼博士が独身生活をしている理由や、私が笠神博士と親しくしている事などを訊かれるとそれは私の杞憂に過ぎないだろうけれども、何となく気味が悪いのだ。何といっても、私が毛沼博士を自宅の寝室まで送り届けたのだし、恐らく私が生きている毛沼博士を見た最後の人間だろうから、それを笠神博士と親しくしている事に結びつけて、変な眼で見られると、油断