Japanische Klassiker mit Furigana
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けつえきがたさつじんじけん
血液型殺人事件
甲賀 三郎
Lesen Sie 血液型殺人事件 (けつえきがたさつじんじけん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.256 Zeichen · 71 Bildschirme
只、意外なのは、夫婦の間が何となく他人行儀で、よそよそしい事だった。博士は私に対しては、努めていろいろの話をされるにも関らず、夫人に対しては、必要な言葉以外には殆ど話しかけられず、稀々話しかけられる言葉も、いつでもせいぜい四五文字にしかならない短いものだった。私は二人の結婚が激しい恋愛の後に成立したと聞いていたので、この冷い仲を見て、どうも合点が行かなかった。然し、考え方によると、こうした他人行儀的態度は、博士の性格に基くもので、学問に没頭して、それ以外の何の趣味もなく、何の興味もない博士の事であるから、必ずしも冷いというものではないかも知れないのだ。
夫人は飽くまで温良貞淑だった。少しも博士の意に逆おうとせず、自分を出そうとせず、控え目にして、書斎の出入には足音さえ立てないという風だった。私に対しても、控え目な然し十分な厚意を示された。決して一部で憶測しているような、博士は博士、夫人は夫人といったような離れ放れの夫婦ではなかった。噂によると、博士と夫人がこういう外観的の冷い仲になったのは、十年ばかり以前に夫婦の間の一粒種だった男の子が、十いくつかで死んでからだともいい、又、それは結婚すると間もなく始まったともいう。